休みの間、少し前に発売された「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」という本を読んでいた。本筋たる木村政彦の評伝はもちろん素晴らしかったけれど、明治後半から昭和初期にかけての日本格闘界の描写が興味深かった。
幾つかの格闘漫画に、「幻の柔道競技」のような形容で紹介されていた「高専柔道」の詳解が勉強になった。
格闘技というものは本来、一定時間あたりで体内に蓄積できるダメージの総量を競う競技なのだと思う。
ダメージが限界を超えた選手は動けなくなってしまうし、どれだけの攻撃を受けても受け止められるダメージに限界がない、不死身の選手が競技に参加してしまうと、もはや格闘技はゲームとして成り立たなくなってしまう。
ダメージには「与えかた」と「受けかた」とがあって、技術としてそれぞれ確立されている。技術を学んだ・・・
何か成功している事例に学んで、成功した何かとは正反対の場所を目指すと、時々うまくいく。
逆転の発想はシンプルに過ぎて、もはや陳腐ではあるけれど、こうしたやりかたの肝は「逆であること」それ自体ではないのだと思う。
成功しようと思ったところで、「成功」という問いは広すぎて、解を探そうにも、どこから手を付ければいいのか分からない。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20120411-OYT8T00003.htm
被災地の病院復旧を進めるため、特区を作って「規定の9割の人数でも申請を認める」ルールを定めた、という記事。
病院を経営する側から見れば、規定の人数まで人を集めるのは大変で、規制が緩和されることで、施設の運営が少しでも楽になるのかもしれないけれど、この特区で働・・・
マニュアル化出来る仕事は、マニュアルが完成すると買い叩かれることになる。仕事が丁寧にできることだとか、あるいはマニュアルをきちんと守れることは「いいこと」だけれど、その良さはお金につながらない。
将来的にマニュアル化が可能な場所において、「マニュアルを守れる人」には未来がない。「マニュアルを作れる人」には、「そこでマニュアルを作った」ことが実績になって、まだしも次につながる可能性がる。
動作を・・・
正しい定義とは異なっているかもしれないけれど、「原理主義」の人と、「無宗教」の人とでは、振る舞いが似てくるのではないかと思う。
伝統的な宗教というものは、生活をしていく上では必ず生じるある種の理不尽に対して、諦めるための仕組みを提供する。
努力を投じたのに見合った結果が得られない、あるいはそもそも何もしていないのに、ある日いきなり不幸が降ってくる、世の中にはどうしようもない理不尽がいくつもあっ・・・
「お財布携帯」を使ったことがない。都市部ではもっと普及しているであろう「電子マネー」も、実際にそれを使ったことがないから、もしかしたら以下のことは的はずれなのかもしれない。
うちの施設は職員の高齢化がずいぶん進んだ。医局を見渡せば自分が今でも最年少、携帯電話を持っている人こそ増えたけれど、「お財布携帯」機能にしても、携帯メール機能にしても、今それを日常的に使っている人はいない。スマートホンの普及・・・
入力された事例に対して、ある判断を対応させた上で、それを行動として出力する、人間の思考というものは、データベースとしての振る舞いかたに、部分的に置換することができる。
刑事尋問は、尋問する側が収集した一連の事実を相手に入力、返された応答を観察することで、相手の思考を推測する行為であるといえる。入力される質問が想定内であるかぎり、質問を受ける相手の側に思考を隠蔽する意図があれば、それを見破るのは不・・・
「仏壇」みたいに、ある宗教に対する考え方を象徴するような何かは、それを持つ人の心身を、事後的に増価させる働きを持っているのだと思う。
本来は多分、ああいった道具は、ある宗教に入門して、信仰心がある程度自分の中で高まってから、心身の証として購入するべきなのだろうけれど、自分がその考え方に賛同するのかそうでないのかがまだはっきりしない段階で、「とりあえず仏壇を買ってください」なんて道具を押し付けてし・・・
価格がずいぶん下がったこともあって、Galaxy Nexus を白ロムで購入した。
画面はきれいで動作は素早く、カスタムROMを入れれば、ボタン配列も自由に変更可能で、この端末はたしかにとても使いやすいのだけれど、4.7インチの画面サイズはさすがに大きくて、片手での操作が厳しい。
たとえば左手で Nexus を片手持ちすると、左手人差し指の第一関節で電話をつかんで、親指の側は生命線を超えるあた・・・
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120227-OYT1T00920.htm
リンク先は原発事故に関する民間団体の報告書を報じたニュース記事。
「菅前首相は到着状況などを自ら管理し、秘書官が「警察にやらせますから」と述べても、取り合わなかった」のだという。バッテリーが必要と判明した際も、自ら携帯電話で担当者にバッテリーの大きさを確認して、とにかく・・・
Tumblr を見ていたら、「平和の反対語は混乱であり、それは 状態を指す言葉である。 戦争は暗殺、脅迫、政略結婚、買収、 対話等と並ぶ外交手段の一つである」という文章が流れてきて、これはいい定義だなと思った。
現状を否定して、「平和」みたいな「かくあるべききれいな理念」を唱えてみせる人には、時々たくさんの支持が集まる。きれいな言葉に心癒されて、じゃあその腐った現状をどうすればきれいになるのか、・・・
「十分な検証が為されていないけれど面白そうなもの」は、世の中にはたぶんたくさんあるのだけれど、そんな商品への導線が、今はまだまだ存在しない。
##洋書の翻訳について
作者との交渉やら、相手出版社からの翻訳権取得やら、洋書の翻訳を商業出版するためのハードルは、個人にはあまりにも高すぎる。本を読むことは誰にだってできて、その分野の知識があって、英語の能力と、翻訳に割くリソースを持っているのなら、翻・・・
顔本を、最近ごくささやかに使いはじめているのだけれど、やっぱりあの空気がおっかない。
顔本で発信しているのは「いい人」で、みんな人生に前向きで、世の中のいろんな場所に出かけては新しい知見を仕入れて、前向きな未来を語る。
顔本は「いい人」達の社交場で、自分の居場所がないというか、顔本世間が求める平均値に比べると、自分が今生活しているこの場所が、なんだかとても低い場所に思えてくる。
それが政治であっても接客業であっても、人と人とが接する仕事を続けていく上では、「自分たちの仕事とはそもそもなんなのか」という、職業の定義をきちんと行い、それをスタッフで共有していくことが大切になってくる。
少し前、レストラン「サイゼリヤ」での顧客対応に関する記事が話題になった。
http://d.hatena.ne.jp/syuukandoromizu/20111007/1317913231
電子媒体から採算を得るのは本当に難しい。
コピーガードみたいな仕組みは素人の手には余るし、国内で公開されているコピーガード付きの電子書籍は、どれもメディアをまたぐのが困難で、それが面倒で、どうしても手が出ない。
コピーガードなしのPDFを手元の環境で作ることは容易になって、これを配信できればいいのだけれど、PDFはたいていのメディアで読めるその代わり、コピーのコントロールが不可能で、一度世の中・・・
DV被害にあった人の体験談には、「顔が腫れるぐらいに殴られた」体験や、「顔が変形するぐらいに殴ってやる」と脅迫された事例が、しばしば引用される。被害者の人達は、もちろん様々に悲惨な体験をしているのだろうけれど、顔という、誰の目にも見える場所に加えられた暴力は、犯罪として処理される家庭内暴力と、漠然と「DV」といわれる事例とを、どこかで隔てているように見える。
「信頼」とは、選択肢の剥奪なのだと思・・・
橋下市長と、北大の山口とのテレビ対談の感想文。
##舞台設定は大切
市長と教授とでは、お互いに得意とする土俵が異なってくる。得意分野が違う相手と議論をするときには、まずはお互い、どんなルールで組み合うのか、きちんと詰めてから議論しないと泥沼になってしまう。
ドーナツの中心みたいに、存在いない何かを「ある」と宣言できた人には、ものすごいお金が集まってくる。
医療においてはたとえば、「健康」というものは、「病気でない」ことで定義される。病気の定義は様々で、「病気でない」一定の状態を取り巻くように、「病気の状態」というものは、あたかもドーナツのように分布する。
ドーナツの真ん中には空間が、「病気でない状態」で漠然と存在していて、その中心にあるであろう、・・・
先入観、あるいは考えかたのフレームワークを共有することで、学習速度を高めることができる。
同じ先入観を共有する人が複数集まると、その場は硬直する代わり、学習速度は人数に比例して速くなる可能性がある。
2ちゃんねるで活躍する嫌韓文脈の人達は、歴史に詳しい。あれを「詳しい」と表現すると、本職の人達は怒るだろうけれど、少なくとも彼らが頭の中に入れている知識の量は、歴史に興味のない人に比べれば、ずいぶ・・・
昔から似たような夢をよく見る。
恐らくは大学生だった昔が舞台で、状況はいつも試験前。自分はといえば試験の準備もできていない、講義にもろくに出席していないものだから、内心はとても焦っているのだけれど、勉強するわけでもなく、何か好きなことに没頭するわけでもなく、夢の中ではいつも、自宅で本など読みながら、一人ゴロゴロしている。
試験はもうまもなく「らしい」。期日が近いというのは分かっているのだけれど・・・
ゲームのルールを理解しているプレイヤーは、デザイナーが仕掛けたあっと驚くような解決策を自力で探して、見つけて喜ぶ。
ゲームを「なんとなく」楽しむプレイヤーは、奇策を捜すことなく、レベルを上げて物理で殴る。デザイナーが準備した、思いも寄らない解決策は、もしかしたら裏切りに見える。
ゲームの要素は様々だけれど、「なんとなく」楽しむ人達を取り込んでいく上では、「レベルを上げて物理で殴る」人達を裏切ら・・・
少し前、自動車番組の「TopGear 」でレクサスが取り上げられた。司会者は、「トヨタの車は図書委員だ」と評していたけれど、今にして思えば、あれはものすごいほめ言葉なのだと思った。
はっきりとした目的を持たない、「なんとなく」消費される何かというものは、時々莫大な市場を作り出す。
「なんとなく」使われる何かというものは、特定の目的を持たないことそれ自体が大きな強みになっている。そんな市場におい・・・
独創性について。
http://www.1101.com/essay/2011-11-09.html
リンク先は横尾忠則の逸話。
「議論していい政策を作る」ことでなく、「相手に勝つ」ことを目標としていいのなら、政治の場において劣勢に立たされた側が「政策で勝負する」のは最悪の選択肢になる。これでは正々堂々自爆するのと何ら変わらない。
勝ちたいのなら、劣勢に立たされた側は、なんだか美談じみて道徳に親和的な、意味があるんだかないんだか分からない「政策」をうにゃうにゃ唱えつつ、相手の些細な瑕疵をあげつらい、哄笑し、議会の場というも・・・
昨日書いた記事の続き。強力すぎる何かを相手にしたときの対応について。
研修医の昔から、人と話すのが苦手で、交渉ごとがとにかく下手で、何かいい方法はないものなのか、弁護士の人たちや企業のクレーム担当の人が書いた交渉の本をいろいろ読んだ。
交渉のマニュアル本というものは、ごく大ざっぱに「誠意を持って語りかければ相手はきっと分かってくれる。駄目なら殴らせて警察を呼べ」という文脈で書かれていた本が多かった。誠意をどうやって表現すればいいのか、自分にはちっとも分からなかった・・・
評判がよかったり、あるいは読んで何かの引っかかりを感じた記事を見たときには、URLをたどって、そのサイトの大本がどこなのかを調べて、Google先生 にお伺いを立てる。その人が普段どんな記事を書いている人なのか、どんな評判なのか、つまるところは「Google先生がクロールした世間」では、その文章にどんな感想を持つべきなのかが検索できる。
Twitter に何かを書き散らすにしても、そんな空気に同・・・
##ヨーロッパとアフリカとは案外近い
塩野七生の「ローマ人の物語」を読んで、この年になってようやく、「ヨーロッパとアフリカとは案外近い」という当たり前のことが腑に落ちた。
学校では地理歴史を習ったし、濃い人たちから見れば素人も同然とは言え、軍事方面の話題は好きだったから、ロンメルの戦車軍団がアフリカで活躍した逸話は知っていたのに、「どうしてアフリカだったのか?」という根本を、不思議と疑問い思わ・・・
主にチャーチルだけれど、政治家の名言と言われているような一言は案外不謹慎で、今の時代に同じことをやらかせば、間違いなく袋だたきになるような気がする。
それは民族差別だったりセクハラだったり、名言というのはどこかろくでもないものでありながら、たしかにの一言で何かが分かる。言葉はそのとき何をしていたのかといえば、その政治家が何を手放し、誰を敵にしたのかを明確にしている。名言は、それを発した本人を強力・・・